デッドリフトは、スクワット、ベンチプレスと並んでBIG3と呼ばれるトレーニング種目です。
以前は、そうした花形種目でもありましたが、人によってはケガのリスクからデッドリフト不要論を唱える方もいます。
デッドリフトは、その特徴的なフォームから一歩間違うとケガに繋がりやすい種目でもありますが、カラダ全体を鍛えるには非常に効率的です。
今回は、そんなデッドリフトの怪我の原因となるフォームと、その改善方法について紹介します。
安全なデッドリフト
先ずは、安全なデッドリフトフォームについて確認してみましょう。
動画にもあるように、安全なデッドリフトフォームとは
- バーベルがカラダから離れすぎていない
- 上肢が地面から垂直に伸びている
- 背筋が伸びている
上記のようなポイントを押さえたフォームで行われています。
勿論、人によっては骨格の違いなどによって多少の変化はありますが、以上のポイントは誰もが押さえているポイントです。
怪我の原因となるデッドリフト
では、どのようなフォームだと怪我の原因となるのでしょうか?
基本的には上記のポイントから外れたフォームが怪我の原因となりますが、最も大きな原因と言える背筋が曲がった状態でのデッドリフトを取り上げていきます。
脊椎後弯デッドリフト
デッドリフトにおける最も危険なデッドリフトとして、背筋が曲がった状態でのデッドリフトがあります。
これは、どのような状態でのデッドリフトなのでしょうか?
動画のようなデッドリフトが背筋が曲がった状態でのデッドリフトです。
トレーニングに熱心な方であれば、上記のような背筋の曲がったデッドリフトを見ると「それ、危ないよ。」と瞬時に思われるでしょう。
しかし、なぜ、危ないのでしょうか?
テコの原理とシーソー
デッドリフトにおいて、地面から重量物を引き上げる際にはテコの原理を使います。
「何言ってんの?」
と思われる方もいらっしゃると思うので、簡単に説明させてください。
先ずは、シーソーを思い出してみましょう。
シーソーは、遊具として近くの公園や通っていた校庭にあったという人もいるのではないでしょうか?
長い板には両端に取っ手がついており、真ん中には地面から長い板を支えるような柱があります。
両端に子供が座り、互いに地面を蹴り合うことで互いが上下動する遊具がシーソーです。
支点・力点・作用点
シーソーの場合、支点はシーソーの中心点となります。
力点は、地面を蹴る側です。
膝を屈曲させて蓄えた力を地面に放出することで、自身は空中へと上がることができます。
作用点は、地面を蹴られる側です。
地面を蹴られる側は、地面から上方向に伝わる力とは、反対の力が働きます。
互いに地面を蹴り合うことでシーソーは上手く動きますが、その理由はテコの原理が働くからです。
では、デッドリフトの場合の支点・力点・作用点はどこでしょうか?
テコの原理とデッドリフト
デッドリフトの場合、支点は大転子付近です。
大転子とは、大腿骨の骨端であり、骨盤の窪みにピッタリとハマるようにして存在しています。
大転子が支点であれば力点はどこでしょうか?
力点は、背骨から骨盤を結ぶ直線の延長線上に位置します。
イメージは、骨盤の末端、お尻の先端にあると思ってもらえると良いでしょう。
最後に、作用点です。
作用点は、バーベルから上腕骨を結ぶ線の延長線上にあります。
これは、上腕骨の延長線上である掌でバーベルを握る為に、デッドリフトでは作用点として働きます。
支点が変わると危険度が上がる
こうしたテコの原理を利用したデッドリフトですが、怪我の原因となるデッドリフトは、この支点がズレることで引き起こされます。
安全なデッドリフトは、支点は大転子付近にあり、バーベルを上方向に引っ張る力と脚を下方向に踏ん張る力とが上手く噛み合うことで可能となります。
しかし、背筋が曲がることで支点がズレる可能性があります。
背筋が曲がってデッドリフトを行った場合、その曲がった頂点に力が集中する恐れがあります。
天井から吊られた状態
天井から吊り上げられるような状態をイメージしてもらえると良いでしょう。
こうして1点を吊り上げられたままデッドリフトを行うと、力点・作用点という両端に力が加わる為に、吊り上げられた箇所には更に多くの負荷が加わります。
こうしたデッドリフトフォームによって蓄積された負荷、あるいは、大きな衝撃は背骨周りに悪影響を及ぼし、関節炎・神経炎などを原因とする腰痛を引き起します。
どうしたら良いのか
背筋が曲がった状態でのデッドリフトを改善するには、どうすれば良いのでしょうか?
それには、背筋を伸ばしてデッドリフトを行うしかありません。
では、背筋を伸ばしてデッドリフトを行うのは、どんなことが有効かというと腹圧の掛け方の習得と、軽い重量でのフォーム習得、ヒンジ動作の習得が挙げられます。
デッドリフトと他のトレーニング種目との違いは、スタート時にバーベルによる負荷がカラダに加えられているか、否かということです。
スクワットであれば肩の上にバーベルが乗っているので、既にカラダとしては負荷を感じます。
ベンチプレスもラックからバーベルを外すので、下方向には常に重量が加わります。
しかし、デッドリフトの場合はバーベルが床に接地された状態からスタートする為、挙上するまではカラダは負荷を感じません。
ですので、スタートポジションを作る為に時間を費やせます。
【トレーニング】よく「腹圧をかけろ。」って言われるけど、どういうこと?
【トレーニング】デッドリフトに役立つ”ヒンジ”について知ろう
ちなみに、以上の記事には腹圧の掛け方と、ヒンジ動作について扱っています。
興味あれば、読んでみて下さい。
以上の動作を習得した上でお伝えしたいのは、カラダを屈めてから勢い良くバーベルを挙げないようにしたい、ということです。
この挙上方法の場合、腹圧が十分に掛からずにバーベルを持ち上げることに繋がるので、ケガのリスクが高まります。
先にお伝えした3点を習得したとしても、この挙上方法はケガに繋がるのでやらないようにしましょう。
まとめ:軽重量は恥ずかしくない
こうした注意点を守って、いざ、高重量に挑戦したとしても、初めは背骨が曲がることもあるでしょう。
そういう場合は、重量を落として、もう少し練習を積み重ねることが重要です。
高重量を扱えた時の嬉しさや楽しさは、形容し難い喜びがありますよね。
しかし、そうした結果を優先するあまりケガをしては、トレーニングを継続することはできません。
トレーニング成果は継続することで得られるものなので、先ずは、安全にデッドリフトができるようにトレーニングを積み重ねていきましょう。
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