【トレーニング】リフティングベルトはトレーニングの安全性を向上させるのか?

はじめに

トレーニングにおいて、安全にトレーニングが行えるような補助を目的としたアイテムが、いくつかあります。

パワーグリップやリストラップ、ニースリーブなどが当てはまりますが、もっとも利用されているのがリフティングベルトではないでしょうか?

特に、トレーニングにおいて腰部に不安を感じる方は多くいらっしゃいますが、リフティングベルトはそういった腰部への不安を軽減してくれるアイテムとして重宝されています。

また、リフティングベルトを装着することで、安定的に腹圧を高めることができると感じる方も多くいます。しかし、リフティングベルトを装着することは、本当に効果的なのでしょうか?

体感的には効果を感じていても、果たしてそれがリフティングベルトによるモノなのでしょうか?今回は、そんなリフティングベルトについて考察していきます。早速、いきましょう!

なぜ、リフティングベルトを利用するのか?

リフティングベルトを利用する理由は、人によってそれぞれです。例えば、「もう少し高重量を扱いたいから。」「もう少しトレーニングボリュームを増やしたいから。」「安全にトレーニングしたいから。」などです。

前項でも挙げたように、腰部の怪我予防を最も大切に考えている方が、最も多いのではないかと思います。実際に、リフティングベルトを装着することで腰部への不安感を感じなくなった方は非常に多いです。

安全性の確保

Finnie SB, Wheeldon TJ, Hensrud DD, Dahm DL, Smith J. Weight lifting belt use patterns among a population of health club members. J Strength Cond Res. 2003 Aug;17(3):498-502. doi: 10.1519/1533-4287(2003)017<0498:wlbupa>2.0.co;2. PMID: 12930176.

以上の論文では、リフティングベルトの利用目的の大半が安全性の確保であることが述べられています。

これは、実際にリフティングベルトを装着することで、腰部への安全性が確保されたという根拠にはなりませんが、感覚的にリフティングベルトを装着することで安全性を確保できるという定説があることを示唆しています。

また、個人的な感覚としては、リフティンベルトを装着すると腰部への不安がなくなることは実感しています。また、リフティングベルトを装着することで、腹圧を高められたと実感している点も安全性の確保に繋がっていると思います。

腹圧の向上

個人的に実感している腹圧の向上に関してですが、これは脊柱起立筋がどれだけ動員されているのかによって定かになると思います。

Kingma I, Faber GS, Suwarganda EK, Bruijnen TB, Peters RJ, van Dieën JH. Effect of a stiff lifting belt on spine compression during lifting. Spine (Phila Pa 1976). 2006 Oct 15;31(22):E833-9. doi: 10.1097/01.brs.0000240670.50834.77. PMID: 17047531.

以上の論文では、リフティングベルトを装着することで脊柱起立筋の動員が減ったことが示唆されています。

Miyamoto K, Iinuma N, Maeda M, Wada E, Shimizu K. Effects of abdominal belts on intra-abdominal pressure, intra-muscular pressure in the erector spinae muscles and myoelectrical activities of trunk muscles. Clin Biomech (Bristol, Avon). 1999 Feb;14(2):79-87. doi: 10.1016/s0268-0033(98)00070-9. PMID: 10619094.

以上の論文では、リフティングベルトを装着することで脊柱起立筋の動員が増加したことが示唆されています。

これらの論文の違いは、被験者がトレーニング経験者であるか否か、ということです。1つ目が経験者、2つ目が未経験者です。また、1つ目の論文では、明らかに体重に対する挙上重量が少なかったようにも思えます。

その他には、リフティングベルトを装着しても、そうでなくても脊柱起立筋の動員具合に違いはないなどの研究も存在します。

あくまでもリフティングベルトは、プラセボのような存在で、装着者自身が”安全だ”と思い込ませるだけのアイテムなのかも知れません。

リフティングベルトの是非

これらの論文だけで判断するとリフティングベルトに対する必要性は低いように思われます。しかし、トレーニング経験の有無によってリフティングベルトに対して感じる効果は変わるのかも知れないという推測も成り立ちます。

それに、リフティングベルトを使用せずとも安全に重量物を挙上できるのであれば、ウェイトリフターやパワーリフターの選手達はどうしてリフティングベルトを装着しているのでしょうか。

勿論、彼らの目的としては、パフォーマンスの向上が真っ先に挙げられると思いますが、安全性の確保という目的もあるでしょう。

あれだけの高重量を扱う場合、股関節や膝関節への負担はかなり大きいなものになる為、競技生活を継続する上では怪我を避けなければいけません。そんな怪我を予防する為に、リフティングベルトを装着しているというのは自然な考え方だと思います。

ですので、もしも、多少なりとも腰部に不安の残る方は重量設定を見直すなどの対策もありますが、リフティングベルトを装着することで解決できる場合もあるでしょう。

そうしたアクションを試したことがないのであれば、利用してみても良いと思います。

リフティングベルトを利用するタイミング

個人的にはリフティングベルトを利用するタイミングについては、いつでも構いません。

先ほどの論文から察すると、トレーニング初心者こそリフティングベルトを利用すべきだと思います。勿論、腹圧の掛け方を練習することや安全にBIG3などのフォームを習得することは必要です。

周りには「お前、始めたてなのにベルトなんてしてんの?」とか、「ベルト着けるなんて本格的だね。」なんて言う人もいるかも知れません。

そんな人は、基本無視しておいて良いでしょう。トレーニングの目的がそれぞれ違うこともそうですが、体型や既往歴などのカラダの特徴も人によって違います。

ご自身の体調を最も把握しているのは、ご自身なので、「ベルトを使いたい!」と思ったら躊躇せず使いましょう。

まとめ

今回は、リフティングベルトの安全性についてまとめました。

リフティングベルトに頼り切って、ベルトがないと安全にトレーニングができないと言うのは本末転倒ですが、ベルトを使うことでトレーニングのボリュームが増えたり、更に安全に取り組めるのであれば使ってみても良いでしょう。

今では、オンラインでも簡単に手に入るトレーニングアイテムなので、ご自身が納得するデザイン・機能・ブランドなどから選んでいただけると良いでしょう。

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