スクワットにおける上半身が前に倒れることへの対処法について

あなたは、今回のタイトルのような悩みを抱いたことはないでしょうか?

スクワットにおいて、身体を屈める際に上半身が倒れる方がいます。

バーベルの担ぎ方よっては、上半身を屈めることが正解である場合もあります。

しかし、バーベルを担いでいない状態でのスクワットにおいて、上半身が前に倒れることは良いフォームとは言えません。

今回は、上半身が前に倒れる方に向けた内容を記事にまとめたいと思います。

これを機に、スクワットフォームが安定し、より良いトレーニングライフを送れることを切に願っています。

“上半身が前に倒れる”とは

初めにスクワット中に上半身が前に倒れることについて、イメージを共有していきましょう。

参考例;上半身が前に倒れるスクワット

以上の動画のように、今回はスタートポジションからボトムポジションに移行する際に、上半身が前に倒れることを取り上げていきます。

上半身が前に倒れることで起こること

重心線が前方に移動する

動画からも分かる事として、バーベルの位置が軸からブレることが挙げられます。

肩の上に乗っかっているバーベルの位置が、スクワット時には重心となります。

重心と地面を垂直に結んだ線が重心線となりますが、スクワット時には、バーベルを重心線から、どれだけブレずに挙げられるかが鍵となります。

しかし、前述した通り、バーベルは肩の上に乗っている為、上半身の動きによって重心のブレへの影響をダイレクトに受けます。

動画にもあるように上半身が前に倒れることで、バーベルによって与えられる重心軸は前方に傾くことになるのです。

つま先立ちになること

上半身が前に倒れると、重心軸が前方に傾くことを前述しました。

重心軸が前方に傾いた場合、人間の身体はバランスを崩すので、それを防ごうとします。

その際に、前方にある重心軸を中心に迎える為に、踵を浮かせ、爪先立ちの姿勢を取るようになります。

そうすることで、身体全体がバーベルの下に移行する為、改めて重心軸を身体の中心に取り戻すことができます。

また、爪先立ちになった際には、臀筋群の関与は減り、大腿四頭筋や腓腹筋、ヒラメ筋といった筋肉を強く動員することに繋がります。

膝関節の屈曲が不足する

身体にとって、最も安全に効率的にスクワットを行った場合、大腿四頭筋と臀筋群、ハムストリングと呼ばれる下半身だけでなく、全身の中でも最も大きな部類の筋肉群を動員することができます。

これらの大きな筋肉の動員は、安定性の確保だけでなく、バーベルの挙上に効果的です。

しかし、上半身が前に倒れた場合、前述した様に、爪先立ちの姿勢になることから臀筋群とハムストリングの動員が難しくなります。

その分、大腿四頭筋や腓腹筋、ヒラメ筋といった筋肉を強く動員することとなります。

また、ボトムポジションで膝関節の屈曲不足が発生した場合は、バーベルを挙上させる際に、倒れた上半身を大きく起こす必要があります。

倒れた上半身を大きく起こすには、脊柱起立筋などの背筋を真っ直ぐと伸ばす為に必要な筋肉や、体幹部を固定させる腹横筋を大きく動員することとなるでしょう。

これによって、スクワットというよりもグッドモーニングにも似たフォームになり、下半身ではなく腰部への刺激が大きくなります。

上半身が前に倒れることへの対処法

以上に挙げた要素は、安全なスクワットを阻害する要素です。

全ての要素を解決することで、安全にスクワットを行うことが出来るので、上半身が前に倒れたことを確認したら、速やかに対処法を実践してみましょう。

1.股関節のウォーミングアップ

先ずは、股関節のウォーミングアップを実践してみましょう。

股関節の動きはいくつかありますが、脚を前後に振る動き、脚を左右に振る動き、脚を前後方に回す動きが大まかな動きの種類です。

それぞれの動きに当てはまるウォーミングアップに取り組みましょう。

動画①:シングルレッグデッドリフトスイング
動画②:レッグスイング
動画③:ヒップインターナルローテーション

以上の種目は、主に股関節を温める動きとしてリズミカルに回数を行います。

取り組み過ぎるあまり、筋肉が疲れてしまっては本末転倒なので、股関節を中心に身体全体が温まってきたらOKです。

股関節のウォーミングアップは、これだけでは終わりではありません。

動画④:ワンサイドオブヒップオープナー

以上の動画のように、足首周りにあまり負荷を与えないように、股関節を動かしていきましょう。

ワンサイドオブヒップオープナーで重要なポイントは、動作中も十分に股関節を開き、足と膝の向きを合わせることです。

動作前に股関節を開き続けることは難しくありませんが、動作中は股関節を閉じたくなるので注意が必要です。

注意が必要な動作中は、お尻周り、或いは内腿に刺激が入れば感覚はバッチリでしょう。

非常に地味な種目ですし、刺激から逃げたくもなりますが、動作はゆっくりと行い、スクワットにおいて重要となる筋肉の可動性と安定性をあげていきましょう。

股関節のウォーミングアップは、一旦、これまでにしておきます。

2.足関節のウォーミングアップ

次は、足関節のウォーミングアップです。

足関節とは、足首を指します。

足関節のウォーミングアップとして代表的なのは、”アキレス腱のストレッチ”でしょう。

動画⑤:カーフエクステンション

これは、腱を伸ばすというよりも、ふくらはぎの筋肉を伸ばすことを目的としています。

スクワットにおいてふくらはぎを十分に伸ばせないことは、つま先立ちを誘因します。

その為、事前にふくらはぎを伸ばしておくことは、安全にスクワットを行う上でも重要です。

ウォーミングアップで注意したいのは、股関節のウォーミングアップと同様、関節を動かし、温めるということです。

その為、カーフエクステンションを行う際には、小刻みに身体を動かすようにしましょう。

また、カーフエクステンション時に、後ろ足を斜めに置いている場合は、十分に足首が曲がらずに、不十分です。

ふくらはぎを十分に伸ばす為に、後ろ足を正面に真っ直ぐに向けるようにしましょう。

動画⑥:アンクルモビライゼーション

足関節が温まってきたら、少しずつ大きな動きを加えていきましょう。

足関節を前後に大きく動かすことを念頭において、上記種目に取り組んでいきましょう。

重心が前方に移動した際には踵を浮かさずに、十分にふくらはぎの伸びやスネの詰まりを感じてみます。

動作を繰り返していくと、少しずつ伸びや詰まりは解消されて、違和感のない動きが可能になるでしょう。

3.ボトムポジションの確認

以上のように、股関節と足関節のウォーミングアップを行った後は、スクワットのボトムポジションを確認していきましょう。

動画⑦:ボトムスクワット

先ずは、重量を持たずに、スクワットのフォームでつま先を触るようにして屈んでみます。

ボトムスクワット中は、上半身が前に倒れないように、踵が浮かないように注意しましょう。

はじめは、ゆっくりとボトムポジションを作るように屈みます。

その際に、腰が大きく丸まる方も多いので、背筋を伸ばしながら屈めるようにトライしていきましょう。

どうしても深く屈んだ場合に腰が丸まる方は、太ももの前面が床と平行な位置まで下げて姿勢を保持します。

ボトムスクワットや下半身関節のウォーミングアップを繰り返しながら、ボトムポジションが上手く作れるようにトライしてみましょう。

上手くボトムポジションを作れた時は、親指の付け根・小指の付け根・踵に体重が乗ります。

また、背筋も真っ直ぐに伸び、股関節も十分に開いた状態でフォームを保持することができます。

4.高い腹腔内圧の保持

こうしてボトムポジションが習得できれば、後は、動作を逆再生して立ち上がります。

しかし、この時に油断していると、重量を扱った時に腰を痛めたり、上手く下半身の力が伝わらないという壁にぶつかります。

これを解決するには、腹腔内圧を高めて保持することが大切です。

動画⑧:バードアンドドッグ
動画⑨;グッドモーニング
動画⑩:サイドプランク

以上は、腹腔内圧を高めなければ、安全なフォームで取り組めません。

特に、グッドモーニングでは腹腔内圧が抜けると背筋が曲がる為、危険なフォームになりかねません。

腹腔内圧だけでなく、股関節の動かし方が課題となっている場合もありますが、先ずは腹腔内圧を高めることに取り組んでいきましょう。

バードアンドドッグやサイドプランクは、グッドモーニングよりも地味な種目ですが、腹腔内圧が低下すると”反り”や”曲げ”などの不安定な姿勢になります。

こうした姿勢の異常を掴み取るようにして、その都度、修正を重ねていきましょう。

まとめ:再チャレンジ

以上の項目を参考にして、それぞれの部位を動かして、確認をして、最後に再チャレンジしてみましょう。

初めの頃は、ウォーミングアップにて十二分にカラダが温まるまで動作を行いましょう。

また、それ以降の確認についても、時間をかけて取り組んでもらえると良いですね。

スクワットは、トレーニングの中でも最も基本的なトレーニングなので、これを機に安全なフォームの獲得に努めていきましょう。


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