ベンチプレスは大胸筋を大きく動員できる種目として知られています。
それだけでなく、三角筋前部、上腕三頭筋と呼ばれる協力筋も動員できる為、上半身の種目にも関わらず重量物を扱える種目です。
そんなベンチプレスは仰向けという体勢からトレーニングを行う為、バーベルを持ち上げようとすることで、腰を極端に反らして持ち上げてしまう場合があります。
しかし、身体的にはあまり良くないのが、こうしたフォームです。
では、実際に「腰を痛めた…」と感じた場合に、どのようなポイントをチェックすれば改善に繋がるのでしょうか?
今回は、そんなベンチプレスに対する素朴な疑問を解消していこうと思います。
ベンチプレスで腰を痛める原因
はじめにベンチプレスで腰を痛める原因がなんなのかをお伝えします。
過度なブリッジのベンチプレス
ブリッジはベンチ上に仰向けになった際に、腰部付近をベンチから離し、そのフォームを固定させることを意味します。
以上のような形がブリッジです。
このブリッジ、過度になってしまうと腰を痛める原因となります。
では、どのくらいのブリッジが過度と言われるのでしょうか?
以上のように、過度なブリッジとは動作中にお尻がベンチから離れる程度の角度を意味します。
なぜ、このブリッジが危険なのでしょうか?
腰椎の圧迫
ブリッジによって引き起こされる問題は、腰椎の圧迫です。
腰椎には靭帯や神経といった重要な器官が多く存在します。
また、腰椎を含む脊柱は非常に特徴的な形をしており、それが軟骨などを介して幾層にも重なっています。
こうした特徴的な部分である腰椎が大きく背中側に反ることは、腰椎自身を圧迫するだけでなく、周りの神経などを圧迫することに繋がります。
神経などの圧迫によって痛みが発生し、過度なブリッジを極少数でやめれば良いのですが…
そうしたフォームを続けた場合、腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの重度な怪我を追う羽目になります。
なぜ、ブリッジを過度に作りたくなるのか
しかし、過度なブリッジが危険だと知っているにも関わらず、やり続けてしまう方が数多くいます。
その理由は、背面でベンチを押しやすくなるからです。
ベンチプレスは、上半身のトレーニングではありますが、下半身の力を用いて挙げることで、より安全に、より負荷を増やすことができます。
下半身の力を使う場合、地面を踏ん張って背中に力を伝えます。
背中に伝わった力はベンチを下方向へと押しますが、その反力はバーベルに伝わり、反力と主動筋や協力筋が合わさることで、重量物が持ち上がるという訳です。
実は、過度なブリッジは、この反力を増すには非常に効果的です。
ベンチに対して背中からの力が垂直に伝えられると、バーベルに対する反力を最大化できます。
これを狙うには、脊柱を曲げて背中とベンチとの角度を90°に近づけてあげれば良いのです。
これを実現する為に、お尻を浮かしてまでブリッジを作ることに繋がります。
腰部の怪我は長引く可能性が高い
腰部の怪我は長引く可能性が高いと言われています。
それは、人間は日頃から腰部を動かす生き物だからです。
指の怪我などもそうですが、日常的に動かしている部分の怪我は、完治が遅い、或いは完治しにくい場合が多いです。
また、ギックリ腰やヘルニアなどは、一度良くなったとしても、一生涯付き合っていかなければならない場合もあります。
こうした怪我の不安は常に付き纏い、トレーニングを満足することの妨げとなるでしょう。
そうしたことを予防することは、トレーニングを継続する上では非常に大切です。
お尻はベンチにつけたまま
ベンチプレスを安全に行う為に、”お尻はベンチつけたまま”ということを忘れないようにしましょう。
これは、安全にベンチプレスを行う為には欠かせない教訓です。
お尻をベンチにつけてブリッジを作る場合、股関節の動きが制限されるので無理に腰椎を反ることができなくなります。
前述した通り、お尻をベンチにつけたままだとベンチに対して背中が当たる角度が浅いので、100%の力を伝えることができません。
しかし、100%の力を伝えるよりも、怪我を予防しながらトレーニングを継続することの方を優先すべきです。
目先の重量や回数ではなく、フォームをしっかりと確立してトレーニングを積めば、自ずと目標に辿り着けるでしょう。
まとめ:先ずは怪我を防ごう
怪我を防ぐことがトレーニングの成果を最大化させる秘訣です。
今回は、ベンチプレスで腰を痛める要因として過度なブリッジを挙げました。
ブリッジは、力を効率的に伝えるには効果的ですが、安全かと言われるとそうではありません。
こうしたブリッジが腰を痛める要因となることを知ったのなら、今後は行わないようにしましょう。
お尻をつけたまま、しっかりと力を伝えられるようにベンチプレスを練習していきましょう。