【少し詳しく知りたい方へ】脂質って、何ですか?

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前回、タンパク質についての記事を投稿したとなれば、次は脂質についてでございます。

PFCの”F”を司どる脂質について、本記事では書いていきます。

脂質と言いますと、みなさん、あまり良い印象が無いのではないでしょうか。

体脂肪の元凶だろなんて思っている、そこのアナタ、そんな風に脂質を虐めるのはおやめなさい。

脂質にも脂質らしさというものがございます。

脂質自身は、与えられた役割を果たしているまででございます。

それが、現代社会では過剰摂取によって、その役割を果たし過ぎているという、所謂、過労働になっているようでございます。

脂質の過労働ってなんだよとお思いかも知れませんが、自分でもよく分かりません。

これについては、一切、質問は受け付けません。悪しからず。

脂質(前回の振り返り)

まずは、前回の振り返りからいきましょう。

脂質の役割というのは、エネルギー源として蓄えられていまして、それが皮下脂肪や内臓脂肪という形になっております。

その他にも、ホルモンや細胞膜を構成したり、内臓を保護したり、寒冷から身体を保護する等の役割もございます。

そして、脂質にも種類がございまして、大きく2つ、あるいは3つに分類いたします。

  • 飽和脂肪酸
  • 一価不飽和脂肪酸

シス型脂肪酸/トランス型脂肪酸

  • 多価不飽和脂肪酸

n-6系脂肪酸/n-3系脂肪酸(α-リノレン酸/EPA/DHA)

以上が、脂質の分類でございます。

こうした脂質には、脂溶性ビタミンというのが含有されている場合がございまして、脂質が不足すれば、こうしたビタミンの摂取不足が叫ばれるという事態に陥る可能性がございます。

そんな脂質を多く含む食材は、以下の通りです。

油脂(オリーブオイル・ごま油など)/種実(アーモンド・カシューナッツなど)/乳製品(牛乳・チーズなど)/大豆製品(納豆・豆腐など)/肉(カルビ・シロコロなど)/魚(銀鱈・鯖など)/卵/一部の野菜(アボカド)

これまでが、前回の振り返りでございます。

さて、今回は、ここから掘り下げていきたいと思います。

脂肪酸

さあ、前回の振り返りにも記述がございました、脂肪酸についてここからは掘り下げていきます。

脂肪酸と言いますと、何やら脂質であって脂質でないような気もしますが、脂質というのは総称のようなもので、脂肪酸というのは脂質の中の一員と思っていただければ良いでしょう。

脂肪酸以外にも、中性脂肪、リン脂質、糖脂質、ステロール類などが、脂質の一員として知られている訳でございます。

で、その中でも脂肪酸というのは、更に枝分かれすることで前述したいくつかの脂肪酸に分かれるという始末です。

そんな脂肪酸は、炭素、水素、酸素によって構成されております。

さぁ、ここから少し化学の授業でございます。

炭素、水素、酸素によって構成された化学物質に、これに”カルボキシル基(化学式:ーCOOH)”が付与されているのが脂肪酸と、言われる化学物質となります。

これは、タンパク質の時よりも、シンプルですね。

◯鎖脂肪酸

で、この脂肪酸の中でも、中鎖脂肪酸というのを聞いたことはございますか?

健康産業が栄える過程で、”中鎖脂肪酸は良い”なんて謳われ方がされているので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

ここでお伝えしたいのは、そんな中鎖脂肪酸等の効能や役割ではなく、その構造でございます。

そして、中鎖もあれば、短鎖、長鎖もあるというのが脂肪酸でございます。

その違いと言うのが、炭素の数でございます。

炭素数が6個以下を短鎖、炭素数が8個以上10個以下が中鎖、炭素数が12個以上が長鎖となっております。

これはシンプルで分かりやすいですね。

数が増えれば長くなる、数が減れば短くなるという訳でございます。

◯和脂肪酸

これに加えて、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸というのを聞いたことがある方はいらっしゃいますか?

この違いというのが、学生時代の化学で習いましたね、二重結合の有無というのがございます。

さあ、学生時代を思い出しますよ。

原子には、原子固有の電子数というのがございます。

これは周期表でも確認できますので、気になる方は周期表をご覧くださいませ。

この周期表にございます炭素には”6″という番号がございまして、これが電子数を表している訳でございます。

そして、この電子同士の結合というのが化学結合と言われる反応でございますが、電子が1つずつ結合した場合は単結合、電子が2つずつ結合した場合が二重結合と言われております。

さて、初っ端に戻ります。

飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸には二重結合の有無という違いがあるとお伝えしました。

で、飽和脂肪酸は二重結合が無い、不飽和脂肪酸は二重結合が有る、と、こういう風に分別されております。

これはですので、そういうものですと覚えておいていただければと思います。

ここで、もう少し掘り下げます。

この不飽和脂肪酸、二重結合が有る脂肪酸でございます。

これは、二重結合が1つの場合は一価不飽和脂肪酸、2つ以上の場合は多価不飽和脂肪酸と呼ばれております。

さぁ、ここまでお伝えしたことは、基礎的ではございますが、非常に座学的で退屈な内容でございます。

しかし、掘り下げるには基礎をと思えば、避けては通れないのが以上の内容でございます。

そして、これで前回の振り返りに記載した内容を、少し肉付けできたかなと思います。

こういうものなんだと思っていただければ幸いです。

特徴

ここからは少し興味の湧きやすい内容をお伝えします。

それぞれの脂肪酸が有する特徴についてでございます。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は、動物性食品に多く含まれているという特徴がございます。

動物性食品と言いますと、バター、牛乳、肉などで、バターやギーを使用した場合のパンやチョコレート、そして、ココナッツオイルにも多く含まれております。

そんな飽和脂肪酸は、エネルギーとしての還元率が大きいと言われておりますが、また摂取しやすいのも特徴でございます。

その為、各国では目標値というのが定められておりまして、日本では総摂取エネルギーの7%以下というのが推奨されております。

一価不飽和脂肪酸

さて、飽和脂肪酸に比べて、私たちの味方的に謳われるのが一価不飽和脂肪酸でございます。

こちらは、心臓疾患や糖尿病のリスク低減が期待できるというのが、大きな特徴ではないでしょうか。

それ故、健康産業におけるヒーローのような扱いを受けているのも、一価不飽和脂肪酸でございます。

これが多く含まれるのは、オリーブオイル、アボカド、種実類、種子類、魚などでございます。

所謂、健康的だと言われている食材ですね。

多価不飽和脂肪酸

ここからは、多価不飽和脂肪酸についてお伝えいたします。

この多価不飽和脂肪酸、二重結合の数が2つ以上であることをお伝えしておりますが、この二重結合の位置によっても、多価不飽和脂肪酸というのは更に細かく分類できるのです。

こんがらがってきましたね。

大丈夫でしょうか。

さて、こうした多価不飽和脂肪酸は、意識しなければ摂取量が増えないことから、必須脂肪酸とも言われております。

それ程、大切な脂肪酸な訳でございますが、どのような特徴があるのでしょうか。

n-3系脂肪酸

先ずは、n-3系脂肪酸からいきましょう。

こちらは、末端から3番目の炭素が二重結合されている多価不飽和脂肪酸をn-3系脂肪酸と言います。

このn-3系脂肪酸は、ホルモン産生や免疫系の活性化、血栓予防などに重要な役割を果たしております。

そんなn-3系脂肪酸を多く含む食材が、脂質の多い魚、亜麻仁油、くるみなどでございます。

こちらは、少量で摂取することが多い為に、中々、摂取することができないと。

ですから、積極的に摂取していく必要がある訳でございます。

n-6系脂肪酸

次に、n-6系脂肪酸についてですが、こちらは、化学式における末端から6番目の炭素が二重結合された脂肪酸でございます。

主に、血中コレステロールの低下などを促すなどの働きがございます。

これはコーン油、ごま油、ひまわり油などに多く含まれております。

前述した、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸、どちらも必須脂肪酸として摂取が推奨されている訳でございますが、割合が大方あるようでして。

n-3系脂肪酸:n-6系脂肪酸=1:4というのが定説だそうです。

これは、n-3系脂肪酸の摂取量が少なくなりやすいからこそ、積極的に摂って欲しいという背景もあるようでございます。

どちらにせよ、n-3系、n-6系共に積極的に色々と工夫して摂取してみてください。

脂質の過剰摂取とか摂取不足とか

さて、ここから脂質という全体像に戻りましょう。

現代社会において、脂質が不足するというのは考え辛いかも知れません。

過剰摂取しやすい現代社会ですから、過剰摂取の危険性というのは、周知の事実かと思います。

敢えてお伝えするとすれば、動脈硬化、高脂血症、などの危険性がございます。

では、反対に不足するとどうなるかと言いますと、前述したように脂溶性ビタミンの吸収効率が下がるというのがございます。

併せて、エネルギー不足、免疫力の低下が叫ばれます。

ここからは、これまでの仕事からの経験則ではございますが、慢性的に不足気味の方は精神的に崩れやすい場面が増える気がしております。

明らかな論文が見当たらないので、なんとも言えませんが、そういう方が多いのです。

ですから、減量でも無い限りは減らしすぎは禁物でしょう。

脂質の目安摂取量

そんな脂質の目安となる摂取量については、成人の場合、総摂取エネルギーの20%から30%程度と提言されています。

その中で、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸についても言及されておりますが、そんなことまでの意識は中々できません。

もしも、興味があれば調べてみてください。

ここでは言及しません。

とりあえずは、脂質全体での割合を意識して摂取してみましょう。

まとめ

いかがでしたか。

今回は、脂質についてお伝えいたしました。

脂質から分類される脂肪酸、更に分類される飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、そこから更に、といったように脂質の種類について、なんとなくでも知ることができましたか?

それぞれに特徴があり、その中には摂取が難しいものもございます。

無理にでも摂取しようとしてしまっては、過剰摂取にもなってしまいます。

とすると、現代社会病とも言える症状が発症する可能性もございます。

ですので、目安量を意識して、普段から献立に活かしていただけますと幸いです。

参考文献

株式会社食環境衛生研究所:https://www.shokukanken.com

TryiT:https://www.try-it.jp

木原章雄著『脂肪酸の多彩な代謝,生理機能と関連疾患』:https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/05/82-07-03.pdf

農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/fatty_acid.html

ニュートリー株式会社:https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch2-4/keyword1/

化学と生物:https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=2019

Bucher HC, Hengstler P, Schindler C, Meier G. N-3 polyunsaturated fatty acids in coronary heart disease: a meta-analysis of randomized controlled trials. Am J Med. 2002 Mar;112(4):298-304. doi: 10.1016/s0002-9343(01)01114-7. PMID: 11893369.

Nilsen DW, Albrektsen G, Landmark K, Moen S, Aarsland T, Woie L. Effects of a high-dose concentrate of n-3 fatty acids or corn oil introduced early after an acute myocardial infarction on serum triacylglycerol and HDL cholesterol. Am J Clin Nutr. 2001 Jul;74(1):50-6. doi: 10.1093/ajcn/74.1.50. PMID: 11451717.

Pinto B, Domingues I, Ferreira HB, Melo T, Domingues MDR. The Crosstalk of Lipids, Brain and Diet, and Their Potential Impact on Depression Development and Prevention Strategies. J Nutr. 2025 Oct;155(10):3229-3253. doi: 10.1016/j.tjnut.2025.08.003. Epub 2025 Aug 6. PMID: 40780495.

厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

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