【トレーニング】トレーニングにおける、挙上回数によって得られる効果は異なるのか?

はじめに

トレーニングの負荷を決める要素は、3つに分かれます。それは、”重量”・”回数”・”セット”です。重量は重ければ重い程、筋肉に与えるストレスが増えるのは、何となく分かるかと思います。

また、回数を増やしたり、セット数を増やすことでも負荷が増えるというのは、直感的にも分かるでしょう。

しかし、回数に限っては、当てはまらない場合があります。それは、回数によって得られる効果が異なるからです。

では、どれだけの回数が、どのような効果を及ぼすのでしょうか?こういった知識を身に付けておくと、目的に沿ったトレーニングが可能になります。早速、いきましょう。

注意点:回数に適して重量を設定すること

これから目的や効果別に回数をお伝えするにあたり、事前に知っておきたいことがあります。

それは、見出しにもある通り、回数に適した重量を設定するということです。それは、適した重量を設定していないと、狙った効果を得られない場合があるからです。

例えば、

  • 種目:ベンチプレス
  • 重量:60kg
  • 回数:10回
  • セット数:3セット
  • RPE(主観的運動強度):7.0

上記内容で普段トレーニングしていると仮定しましょう。詳しくは後述しますが、10回程度の回数でセットを組める重量設定の場合、効果として筋肥大の促進が上げられます。

しかし、「筋肉を大きくしたいんじゃなくて、もっと高重量を扱いたいんだ!」と思い、神経系の発達を得られるように重量は60kgのままに、回数を5回程度に減らしたとします。

重量が変わらずに回数を減らす場合、筋肉に与えるストレスが減る為、筋肥大を促し辛くなるでしょう。また、重量が変わらない為、ベンチプレスを挙げるのに必要な筋肉量も変わりません。

その為、高重量を扱うだけの筋肉量を動員する必要がありません。

イメージとしては、初めて自転車を乗った時、人間は自転車を乗りこなそうとしますよね。それは、人間が”自転車に初めて乗った”感覚から得た情報を脳に送り、それを基に様々な信号を各筋肉や感覚器官に返送します。

返送された信号を基に、自転車を乗りこなす上で必要な動きを覚えていきます。そうすることで、徐々に”自転車を乗りこなせる”ようになる訳です。これと同じことが、トレーニングでも起こります。

しかし、前述した例の場合は重量が変わらない為、新しい筋肉を使う為の信号を送る必要がありません。ですので、筋肉量が減る恐れもあり、神経系の発達も促し辛いとう結果に陥る可能性があります。

回数を減らすなら重量を上げるor回数を増やすなら重量を下げる

ということで、神経系の発達を促すべく回数を減らすなら重量を上げて、トレーニングに励みましょう。また、筋肥大や筋持久力を狙うなら回数を増やして重量を下げるようにしましょう。

「どれくらい重量を上げたらいいんだ!」「どれくらい重量を下げたらいいんだ!」と思う方もいらっしゃいます。

重量設定の目安をお伝えさせて頂くと、

重量\回数2345678910
50535455565859606163
60636566686971727475
70747577798182848688
808486889092949698100
90959799101104106108110113
100105108110113115118120123125
110116118121124127129132135138
120126129132135138141144147150
RM換算表

以上のような”RM換算表”を基に、重量を設定されると良いと思います。この表の見方は、左端が重量、上端が回数を意味します。

例えば、100kgをギリギリ1回持ち上げられる人は、80kgを10回程度挙上できるということになります。ただし、これは2,3セットのように複数セットではなく1セット目のみを対象としている点に注意しましょう。

上記条件で回数を5回に減らす場合は、重量を90kg付近に下げるようにすることで目的の神経系発達が見込めるといった、見方ができます。

それぞれの回数に適した重量設定となるように注意して、プログラムを作成してみてくださいね。

それでは、ここからは回数の違いによる期待できる効果や活用法について、ご紹介していきましょう。

3-6回:神経系の発達

最初は、神経系の発達について役立つ回数をご紹介します。見出しにもある通りですが、回数は3-6回が目安です。

パワーリフター、パワーや瞬発的なスピードを必要とするスポーツにおいても、取り入れられることが多いと思います。

Schoenfeld BJ, Contreras B, Vigotsky AD, Peterson M. Differential Effects of Heavy Versus Moderate Loads on Measures of Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men. J Sports Sci Med. 2016 Dec 1;15(4):715-722. PMID: 27928218; PMCID: PMC5131226.

上記論文では、重量設定の違いによって、どのような効果が得られるのかが報告されています。高重量&低回数(今回は2-4回)、中重量&中回数(今回は8-12回)、これらを比較した場合、前者の方がスクワットの最大挙上重量向上に優位だったということです。

こうしてみると、神経系の発達を促す場合には重量を上げて回数を減らす必要があることが分かります。

ここでの注意点は、怪我のリスクが増えるということです。高重量を扱う場合、スクワットやベンチプレス時にセーフティーバーをしっかりと準備しなければいけません。

安全にトレーニングできるように準備した上で、高重量&低回数を3-5セットを目安に取り組んでみましょう。回数が少ないのでフォームも修正しやすいですし、呼吸も整えやすいので、普段よりも丁寧に行える人もいるでしょう。

ただし、「挙げよう!」としてフォームを崩してまで、無理に挙げないようにしましょう。

活用法としては、筋肥大に適した重量設定でプログラムを組んでいる方がサイズアップを目的に挙上重量を増やす場合や、筋肥大感を感じなかったり、筋肥大系プログラムで挙上回数や挙上重量が伸び悩んでいる場合です。

6回-15回:筋肥大の促進

神経系とはうってかわって、筋肥大を促進させる為には6-15回程度の重量設定が必要となります。

前述した論文(以下に示す)もそうですが、

Schoenfeld BJ, Contreras B, Vigotsky AD, Peterson M. Differential Effects of Heavy Versus Moderate Loads on Measures of Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men. J Sports Sci Med. 2016 Dec 1;15(4):715-722. PMID: 27928218; PMCID: PMC5131226.

回数が8-12回付近になると、回数が少ない重量設定よりも筋肥大効果が期待できます。

RM換算表から見ると、100kgをギリギリ1回挙げられる人は80kg付近が筋肥大に適した重量設定と言えるでしょう。

活用法は、自身の挙上重量をある程度把握できている人やフィジークやボディビルの大会を目指される方は、この回数でトレーニングを行うのも良いでしょう。

高重量&低回数のトレーニングに比べて、休憩時間も少なく設定しやすいですし、フォームも丁寧に扱いやすいです。トレーニング初心者にとっても、毎回毎回のフォームを確認しながら筋肥大を目指せる重量設定だと思います。

15回-:筋持久力の向上

最後は、筋持久力向上が期待できる重量設定です。

Schoenfeld BJ, Peterson MD, Ogborn D, Contreras B, Sonmez GT. Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men. J Strength Cond Res. 2015 Oct;29(10):2954-63. doi: 10.1519/JSC.0000000000000958. PMID: 25853914.

上記論文では、中重量&中回数(今回は8-12回)、低重量&高回数(今回は25-35回)、これらを比較した場合、後者の方が筋持久力向上に優位な結果となったと報告されています。

筋持久力とは、一定の負荷をどれだけの回数やどれだけの秒数を耐えられるのかというスタミナを言います。

神経系の発達や筋肥大効果は最も低いですが、活用法としてはボディラインを大きくせずに、シェイプアップしていきたい方にとってはオススメです。

また、仕事でボディラインを一定に保たなければいけない方、ボディラインに対して強いこだわりがある方にはオススメです。モデルさんやファッション関係の仕事をされている方なども当てはまると思います。

まとめ

以上の重量設定を基に、自身にあった重量を設定してみてください。どんな種目にも当てはまるので、やったことのない人は好きな種目や得意な種目から試してみましょう。

また、目的や自身に目標がある場合は、その重量設定を基にしてトレーニングしましょう。

筋肉量が増えたり、トレーニングに慣れてくると、重量が増えたり、回数が増えると思います。その都度、自身の体調やこれまでのトレーニング記録と照らし合わせて、重量を設定していきましょう。

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